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日本の夜勤の環境はひどい労働条件のことが多いですが、日中の労働環境もよいとは言えません。他の国に比べて長時間労働が当たり前です。ブラック企業という単語もすっかり定着しました。サービス残業や名ばかり管理職など、他国にはない特徴があります。夜勤では16時間労働なんていう世界的にみて非常識な働き方が容認されています。
本来なら労働者がそんな働き方はNOといえば人を雇うことができず会社は続きません。なんだかんだで多くの人が長時間労働を受け入れてしまっています。

長時間労働を産んだ勤勉革命

日本人がこんなに長時間働くことを受け入れてしまう理由は江戸時代の「勤勉革命」にまでさかのぼります。「勤勉革命」とは社会学者の速水融氏が提唱したアイデアで、西洋の「産業革命」にちなんでつけられました。

西洋の産業革命は機械化によって石炭のエネルギーを効果的に使うことで生産性を大幅に上げましたが、同じ時期に日本がとった道はとてもユニークでした。日本では労働時間を増やして、人の創意工夫で生産性を上げました。この人力による生産性の向上のことを速水氏は「勤勉革命」と呼んだのです。

労働が美徳になった

もともとは勤勉による生産性向上は、労働者自身の実入りを増やすための自発的なものでした。しかし、徐々に労働そのものがよいこと(道徳)になっていきました。手段が目的化していったのです。

実際、江戸時代の農業の手引書には農業の技術に関することだけでなく、労働とは美しい、たくさん働くことはよいことだと繰り返し述べられています。これは民衆が勤勉であることは支配者層にとってもとても都合がよいことも関係しているでしょう。

時代を経てこの勤勉であることは善きことだという考えは日本人に浸透していきました。働くことそのものが美しいのが日本人的な価値観になったのです。これが長時間労働を当たり前とする考え方の土台となっています。

労働の美徳を利用する企業

この労働観は確かに正しい面はあります。明治の驚異的な追い上げや、戦後の世界にも類をみないほどの復興のスピードは日本人の勤勉な労働観なしにはなしえなかったでしょう。

しかしこの労働観は経営者にとって、とても都合がよいのです。なにせ働くことそのものが尊いので、長時間労働をさせてもその見返りが必ずしも必要ありません。

昔はちゃんと長時間働けば終身雇用や将来の出世などで報いがあったのですが、最近は人を使えるだけ使ってあとはポイというようなひどい企業や病院が増えています。いわば労働者の労働観をうまく利用して儲けようというわけです。

まちがった労働観から抜け出そう!

世の中のブラックといわれる職場はだいたい労働は美徳という考えに染まっています。しかし現在の職場は昔と違い長期的な見返りもほぼ期待できません。必要以上に不利益を被っている場合は我慢せずに、改善を訴えるか、職場を変えるほうがよいでしょう。